ユニバーサルミュージックへの移籍第一弾として、2002年3月20日に発売されたカバーアルバムです。これは大変重要な意味を持つアルバムです。なぜならメジャーレーベル復帰作として1994年3月発売の「歌姫」企画が選択されたからです。実に8年の間隔をあけてふたたびカバー作品を作ろうというわけですから、相当の考えがあったのでしょう。
実はエグゼクティブプロデューサーが寺林晁で、音楽プロデューサー、スーパーヴァイザーが川原伸司、千住明の編曲、という最高のスタッフで臨みました。ユニバーサルの本気度が伝わる企画でしたが、寺林は以前ワーナーパイオニア時代のディレクターでもあり知己の間柄でした。
当時の中森明菜が置かれていた地位や人気度は最低まで落ちていたと思われます。それをメジャー復帰を契機に元のような地位に引き上げたいが、そのためにはヒット作を出さなければならないという至上命令がありました。スタッフは工夫と努力をしたと思います。その結果、素晴らしい選曲が行われたわけですが、特に山口百恵、松田聖子のカバーは話題になり、売れ行きにも影響しました。
#タイトル 作詞 作曲
1「歌姫2 Opening」 千住明
2「黄昏のビギン」(ちあきなおみのカバー曲、もとは水原弘の曲)永六輔 中村八大
3「桃色吐息」(髙橋真梨子のカバー曲) 康珍化 佐藤隆
4「アデュー」(庄野真代のカバー曲) 庄野真代 庄野真代
5「別れの予感」(テレサ・テンのカバー曲) 荒木とよひさ 三木たかし
6「シングル・アゲイン」(竹内まりやのカバー曲) 竹内まりや 竹内まりや
7「色彩のブルース」(EGO-WRAPPIN'のカバー曲) 中納良恵 森雅樹 & 中納良恵
8「秋桜」(山口百恵のカバー曲) さだまさし さだまさし
9「異邦人」(久保田早紀のカバー曲) 久保田早紀 久保田早紀
10「乙女のワルツ」(伊藤咲子のカバー曲) 阿久悠 三木たかし
11「瑠璃色の地球」(松田聖子のカバー曲) 松本隆 平井夏美
ジャケットのスキンヘッドもインパクトがありましたが、やはり楽曲の選択と歌唱の上手さが印象的でした。ちあきなおみ、高橋真梨子、テレサテン、竹内まりやなどの楽曲も最適な選択でした。
私の感想は、もはやカバーの域を超えた持ち歌としても良いくらいの完成度を行っていると思います。ただ、明菜さん本人はカバーよりもオリジナルを優先してリリースしたかったはずです。カバーはあまりやりたくなかったから、前作から8年も放置していたと思います。しかし売るためにはカバーでもなんでもやるしかないと悟ったから会社の方針に従ったのでしょう。
結果としてはチャートのトップ10を達成し、以降「歌姫」シリーズ化のきっかけになりました。歌唱の幅が広がる良い機会にもなりましたので、結果良しとしないといけません。
黄昏のビギン
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